未来の人類に生命あふれる地球を残そう!

環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

もう手遅れですが少しでも被害を抑えないと

 日本も異常暖冬が続いていて、名古屋ではまだ平年値が12/20の初雪が、2月になってもまだ観測されていません。

 ここ数日冬らしい寒さが少しだけ感じられましたが、また来週からは春のような日が続く予報になっています。

 そして夏の南極では、観測史上最高の18.3度を記録したとか。オーストラリアで、焼失面積が日本の国土の3分の1にも迫っている大規模火災といい、気候変動の影響を感じる現象が続いています。

日本経済新聞

「南極で過去最高気温観測か 18.3度、アルゼンチン基地 」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55420360Y0A200C2000000/

 そして永久凍土の融解がもたらす気候変動への影響が従来の予想より大きいことがわかってきたとのことです。

ナショナル ジオグラフィック

「永久凍土の「急速融解」、温暖化への影響は従来説の倍も、研究」

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/020700084/?P=1

 「IPCCが2014年に発表した第5次評価報告書では、永久凍土からの温室効果ガスの放出はまったく考慮されていなかった。」

 「IPCCが2018年に発表した特別報告書では、」「永久凍土の緩やかな融解を見積もっていて、急速融解についてはまったく考慮されていない。」

 私が「気候変動ってヤバイの?③ ~デイ・アフター・トゥモローは現実になるか~ otomiさんの環境のお話3」で、産業革命以降の温度上昇を1.5度や2度までに抑えるにはもう手遅れで、重大な被害を免れることはできず、あとはどれだけ被害を抑えるかだとお話した根拠の一つがこれです。

 今議論の前提となっている予想には、この永久凍土の融解の影響や氷床の急速な融解の影響などが、まったく、またはわずかしか考慮されていないからです。

 さらに、シベリア、アラスカ、カリフォルニア、アマゾン、そしてオーストラリアと続きいている火災は、CO2を吸収、固定してくれる森林を焼いて放出されていますし、特に寒冷地での火災は、上記の記事にもあるように永久凍土に閉じ込められていた炭素の放出にもつながっているわけで、状況はより悪化していると考えられます。

 

UN Environment Emissions Gap Report.jpg

出典:UN Environment Emissions Gap Report2019

 この図のように温室効果ガスの削減カーブを2.0度、ましてや1.5度の中に収めるなんて絶望的な状況です。

 もう間に合うタイミングを10年も過ぎているのに科学者たちがいまだに、「できれば1.5度までに、悪くても2.0度までに」と言い続けているのは、それ以上になると悲劇的な状況になるからですが、それがまるでまだ間に合うかのような安心感を与えてしまっているのではないかと、私は思います。

 だからといって一つしかない地球を諦めるわけにはいかないので、正直に「今の温室効果ガスの増加速度や国際的な状況を見ると、もう1.5度や2.0度に抑えるのは難しく、かなりの被害が出ることは避けられないが、少しでも被害を抑えるため、全力で温室効果ガスの削減努力をしなければならない」と伝えてはどうかと思います。