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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

さらに強い地震への警戒も呼びかけておくべきだった

4月14日に熊本でM6.5の地震が起きた際、私は、このページを引用しました。

熊本県主要活断層帯 http://ht.ly/10ENbf

そして、「震源からすると、布田川・日奈久断層帯の中部がずれた感じでしょうか。」とTweetしました。

このページで紹介されているように、布田川・日奈久断層帯の中部は、熊本県で最も発生確率が高い部分でした。

しかし、テレビのインタビューで、多くの住民が、「まさかここでこんな地震が起きるとは思わなかった。」「大きな地震は他の地域の話だと思っていた。」といった声が聞かれました。

阪神・淡路大震災の際にも、「兵庫でこんな地震が起きるとは」という声が聞かれましたが、活断層がある地域では、いつこんな地震が起きてもおかしくないのだ、という警告がされました。

活断層がある地域は全国に渡っていて、すぐ近くに活断層がある地域では、当然警戒している人が多いものだと思っていましたが、どうもそうでもないようです。

これは行政にも責任があります。

もっと情報提供に工夫が必要でしょう。

また、最大M7.6の規模が警戒されている地域で、M6.5の地震が起きたわけですが、まだ地震のエネルギーの大半は温存されている可能性があり、さらにM7クラスの地震が起きてもおかしくない状況でした。

しかし、気象庁からの情報発信は、M6.5の地震を本震扱いし、「平成28年(2016年)熊本地震」について、の第6報まで見ましたが、余震への警戒を呼びかけているだけでした。

特に今回はM6.5の地震の余震にしては大きすぎる地震が相次いでいたわけで、当然、近くでのさらなる大きな地震や、今回動かなかった北側や南側での連動も考えなければならない状態でしたが、その可能性についての警告がされていないことが気になっていました。

そんな中、今日、4月16日になって、1時25分に、M7.3の大地震が14日の地震の少し北で発生しました。

大規模な土砂崩れが発生したり、建物が崩壊したり、列車が脱線したりと大きな被害が出ています。

特に建物内で亡くなったり、怪我をされた方々は、もし、さらに大きな地震が起きる可能性が示されていて、警戒していれば、もしかすると被害を避けることができていたかもしれません。

安全側の情報に偏り、より大きな危険についての情報を軽視することは、こうしたリスクをはらんでいると思います。

今はさらに東の大分側の断層帯での地震も増えてきました。

九州大学 地震火山観測研究センター 「九州地方の地震活動」

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最新情報はこちら

先程、気象庁の会見を見ましたが、大分側にも震源が移っていることへの警戒は呼びかけていましたし、阿蘇山での活動も、関連を否定するのではなく、「わからない」と表現していましたので、少し、危険側の情報へもバランスが取られた気もします。

しかし、以下のように、大分の、今活発化し始めた断層帯では、最大M7.3~7.6の地震が予想されていることも併せて情報提供しておくべきではないかと思います。

大分県主要活断層帯

http://www5d.biglobe.ne.jp/~kabataf/katudansou/ooita/ooita.htm

また、未明のM7.3の地震では、愛知や、東京でも長周期地震動が観測された事が気になっています。

中央構造線に沿って東側に揺れが伝わった可能性があり、今後の活動によっては、さらに東側での地震に繋がることも考えなければならない状況になるかもしれません。

中央構造線の連動地震のリスクについては、2012年1月に書いた以下の記事の中段以降をご覧下さい。

堺市産業振興センター 環境ビジネス情報発信 コラム Vol.16

「危機管理の前にリスク管理を (2)」

http://www.sakai-ipc.jp/bizsupport/management/ecocolumn/eco_column16.html

一般市民としては、気象庁やメディアからの情報に注意することはもちろん、TwitterFacebookなどで提供されている情報のうち、信頼がおけるものを確認したり、自ら地元の活断層を再確認したりして、あらためて地震への警戒をしておくと良いと思います。