50年で3m海面が急上昇した証拠を発見
約12万年前、氷河期のうち、寒い氷期から、温かい間氷期に移行する際、氷床の崩壊が原因で、わずか50年の間に海面が3メートル程度上昇した証拠が見つかりました。
過去数十万年の間、地震活動が見られなかった、メキシコのユカタン半島で、海面の高さに合わせて成長するサンゴの特徴を活かし、サンゴの遺骸を分析する事で、年代による海面の高さを割り出したそうです。
以前、「海面上昇は2100年までに少なくとも1mと指摘」の記事でも書きましたし、講演でもお話していますが、過去の気温と海水面の関係から、地球の平均気温が3度上がると、海面は30m上昇し、2度上がっただけでも、15m~20m上昇すると予想されます。
しかし、氷床の崩壊などの力学的変化が、いつ頃起きて、それによって、どの位の間に何m海面が上昇するのか、不確定要素が多いため、IPCCの海面上昇の予測では、こうした現象による海面上昇は考慮されていません。
でも、短期間に数mという海面上昇が度重なって、最終的に数十mになると考えるのが自然です。
今回、過去に気温が上がった際、短期間で3m海面が上昇した証拠が見つかった事で、その考え方が正しいことが分かりました。
50年間で3mというのも、平均してジワジワ上昇してくれるとは限りません。
相手は自然現象ですから、年に数mmという平均的な上昇が続いたかと思うと、数年で数十cm急上昇し、また年に数mmに戻るといったムラができるのではないかと思います。
記事では、 3メートル上昇しただけでも、上海(Shanghai)、カルカッタ(Calcutta)、ニューオーリンズ(New Orleans)、マイアミ(Miami)、ダッカ(Dhaka)など数十もの大都市が、壊滅的な打撃を受ける可能性がある。 と指摘していますが、日本の大都市も例外ではありません。