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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

海面上昇は2100年までに少なくとも1mと指摘

 以前、私もIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次報告書の海面上昇に関する予測は楽観的すぎると指摘しましたが、やはり、上昇幅は倍程度にはなるという予測が出されました。

 今年、国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が開かれる、デンマークコペンハーゲンで、世界中の科学者らが集まって、気候変動に関する研究の成果を発表する会合が開かれています。

 そこで発表された、最新のデータに基づく海面上昇の予測によると、低めのシナリオでも2100年には、1990年のレベルより1m、高めのシナリオだと、1m90cm程度高くなるということです。

 この会合の様子は、動画とスクリーンの画面を組み合わせて見ることができます。

http://climatecongress.ku.dk/

 海面上昇に関する話は、オープニングセッションPart2の後半、66枚目から出てきます。

 この中では、75枚目のデータにも注目していただきたいと思います。

 地球の平均気温が今より3度程度高かった300万年前は、今より海面は30m程度高く、4度程度高かった4000万年前は、70m以上高かった事がわかります。70m以上というと、地球上どこにも氷河、氷床がなくなる状態です。

 それに対して、予測は、3度程度高くなっても、海面上昇は2100年にわずか1m程度となっています。これは気温の急上昇に対して氷河、氷床の溶解が追いつかず、タイムラグができると考えられているためです。

 過去のデータを見ると、高温の状態が長期間続けば、海面が数十m上昇するのは、当たり前のことなのです。

 気をつけなければならないのは、IPCCの予測でも、今回発表された予測でも、海面上昇のグラフは緩やかな曲線を描いていますが、現実には、もっと激しい変化が起きる可能性もあることです。

 これらの予測には、力学的変化と呼ばれる、氷河、氷床が大量に滑り落ちて、一気に数m海面が上昇する現象は考慮されていません。それは、予測ができないからです。過去のデータを見ると、100年以内に数mという変化が起きる可能性はありますが、それがいつと言えないので、発表するグラフに書き入れることができないのです。

IPCCの報告書にも、ちゃんとそのように注釈が書いてあります。報道はされませんが。

 そうした劇的な変化が何度も繰り返されて、数十m上昇すると考えられますが、それが近いうちに起きはじめるのか、200年後から始まるのかはわかりません。

 ですから、こうした海面上昇のグラフを見るときは、これは上限でも、この範囲で収まるというものではなく、最低ラインだという意識で見ましょう。