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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

中日新聞 社説 「いま、風を待つのでなく」

中日新聞 社説 「いま、風を待つのでなく」

http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2015061402000097.html

要旨

■ドイツ再生エネルギー協会代表 ヘルマン・ファルク博士の話

・ドイツの再生可能エネルギー普及政策は成功している。

・再生エネは気候のためによく、自宅に太陽光パネルを載せればもうけが出る。理想と利益が推進力となり市民に支持された。

・ウランの掘削過程などではCO2を排出するし、そもそも原発がクリーンなエネルギーとは思えない。

・石油やガスを買うと膨大な資金が国外へ流出する。

・電力最大手のエーオン社が、原発・石炭火力部門を切り離して分社化し、本体は再生エネ事業に本格参入することを決めた。

■世界的に再生可能エネルギーへの追い風が吹いている

・ドイツの目標 2050年までにエネルギー消費量を2008年の半分にし、再生可能エネルギーの寄り合いを60%に、CO2排出量を最大95%削減。

・フランスの目標 再生エネの比率を2030年に32%に。

・米国カリフォルニア州の目標 再生エネの比率を電力販売量の50%に。

・中国の見通し 再生エネの比率が2050年に60%に。

■日本は“真空地帯”に取り残されるか

・日本では太陽光発電の急速な普及に対し大手電力五社が送電網への受け入れを一時停止。

・政府は太陽光の買い取りに上限を設けることも検討。

・再稼働を控えた原発のために、送電線を空けておく狙い?

原発は今も主力電源との位置付け

・“安全な原発”を目指すより、再生エネを融通し合えるようにした方が、安上がりで合理的では?

・私たちは風を待つ人ではなく、風を吹かせる人

この中で、産業界の抵抗の例として、なぜエーオン社の分社化の話が出てくるのか、ちょっとわかりにくいかもしれません。

これについては、ドイツ取材の記事や、堺市産業振興センター環境ビジネス研究会のコラムVol.52「ドイツ取材で見えたこと」の中で書いたように、エーオン社は、原発廃炉放射性廃棄物の処理費用がかさんで、切り離した方の会社の採算性が悪化したら破綻処理し、公的資金注入などの形で、コストを社会に転嫁してしまおうという魂胆ではないかと疑う見方があるのです。

日本は目先の利益優先で長期的展望に欠け、原発にこだわって、再生可能エネルギーへの力の入れ方が中途半端です。

この社説、まさに“週のはじめに考え”て頂きたい内容だと思います。