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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

気候変動に対する世界と日本の意識の差はメディアと国、自治体に責任あり

NHK:“ミツバチげんちゃん”と考える環境問題 「気候変動への意識、世界でどう違う? 世界市民会議からのメッセージ」 http://www.nhk.or.jp/ecochan-blog/200/220777.html 前回、日本がエネルギー政策で真空地帯に取り残されているようだという社説を取り上げましたが、今回の話も同根でしょう。 後半で取り上げられている気候変動に対する意識の差は、相当部分、メディアによって作られたものだろうと思います。 気候変動の影響をとても心配している人の割合が、世界平均は79.37%、日本は44%。 査読付きの科学雑誌に掲載された、地球温暖化について取り上げた論文のほとんど(調査により97%~99.98%)が人為的であるとしている、つまり科学的には、事実かどうかはほぼ決着済みで、世界的にはいかに影響を抑えるために行動するかが議論の焦点となっています。 しかし、日本ではいまだに、トンデモな懐疑論をまともな論であるかのように取り上げたり、懐疑論者をまともな論客として扱ったりするメディアがあります。 この記事のNHKは頑張っていますが。 メディアの担当者と話していて、打てば響くように科学的な会話が成立する所はまともな姿勢で報道していますが、感情的な方向に行ったり、科学的な基礎知識が足りないと感じる所は、やはり問題だろうと思う報道をします。 要するにメディアの担当者の科学リテラシーを高めないと、国民のリテラシーにも影響するということです。 2012年4月、NASAの観測によって、南極西部の棚氷が早いところで年に7メートルという猛烈なスピードで薄くなっているという衝撃的なニュースが伝わってきたのですが、私がざっと調べたところ、イギリスのBBCザ・デイリー・メールアメリカのワシントンポストNBC NEWSをはじめ、中国でもロシアでも報道されたのに、日本ではまったく報道されませんでした。 こんなことが起きるのも、日本の報道機関の気候変動に対する危機意識が低いからでしょう。そして国民は重要なニュースを伝えてもらえないことで、適切な判断をし、危機意識を持つ機会を失うわけです。 最近は一時よりは良くなってきましたが、まだまだ事態の深刻さを理解できていないメディアもあるので、地道に訴えていくしかないでしょう。 また、同じ調査で、気候変動対策は多くの場合、生活の質を高めるものであると考える人が世界平均は66.18%なのに対し、日本はわずか17%とのこと。 これは、国や自治体にも責任があると思います。 環境対策というと、電気をこまめに消せとか、テレビを見る時間やシャワーの時間を短くしろとか、面倒だったり我慢が求められる単純な対策を訴えるケースが多かったからです。 そうして気候変動対策に対してネガティブなイメージを持つ人が増えてしまったのでしょう。 私は講演などで、知恵と技術を使って、環境への負荷を減らしながら豊かな生活をしようという「エコ・ゴージャス」というライフスタイルを提示していますが、こうした考え方の転換をしていかなければ、社会全体の環境負荷を減らしていくのは難しいでしょう。 迫り来る気候変動の恐怖 ~地球温暖化が招く未曾有の危機~ 後編 「迫り来る気候変動の恐怖 ~地球温暖化が招く未曾有の危機~ 後編」 環境気候エネルギー出版 富永秀一著 定価300円