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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

「北朝鮮はアメリカとの対話を求めている」の前提は本当か?

テレビなどでは、「北朝鮮は、アメリカとの直接対話を求めている」、「全面戦争になれば、韓国側に一定の被害は出るものの、短期間に米韓軍が勝利する」と評論家の方々は解説されているようです。

しかし、これらは本当なのでしょうか。

北朝鮮の砲撃、そして、米韓合同訓練に向けての警告などを見ていると、本当に対話を求めた動きなのか、怪しくなっているような気がします。

「米韓が圧倒的に強いのに、負ける戦を始めるはずがない」と思われていますが、相手が、そう思っていなかったらどうでしょうか。

例えば、最初から、韓国を占領するつもりなどない戦いを想定していたら。

初期に長距離ミサイルや空軍を使った一斉攻撃をして、相手に最大限の打撃を与え、あとは森林を利用したゲリラ戦しかするつもりがなかったら。

少し調べてみたら、北朝鮮は、実際、特殊部隊の増強に力を入れていて、2006年からの短期間に6万人も増やし、18万人に達しているとも言われています。

参照: 北朝鮮が仕かけるゲリラ・テロを撃破せよ 21世紀は特殊部隊の時代(1)

目的もなく、こんな増強をするでしょうか。

アメリカとの対話を求めているはずだ、というのは時間稼ぎのため、私たちがそう思わされているだけかもしれません。

北朝鮮は、経済制裁や異常気象による不作などで、国力が徐々に落ちています。

金正日総書記は年齢、健康上の焦りも感じているでしょう。

最後の賭けに出ようと考えても不思議ではない状態だと思えてくるのです。

ゲリラ戦となった場合、考えられる事態はあまりここでは書かないことにします。

ヘタをすると、相手に知恵をつける事になりかねないからです。

でも、私が短期間に考えただけでも、米韓が「勝つ」事はなかなか難しく、相当な損害が出る事が想像できます。

そして、日本が巻き込まれる事態も十分あり得ると思うのです。

北朝鮮の目的が、米韓を疲弊させ、少しでも今より有利な形で、停戦ラインを引き直したり、何らかの約束を取り付ける事であったなら、十分、軍事行動を起こす動機になるのではないでしょうか。何しろ、朝鮮戦争は「停戦」しているだけで、終っていないのですから。

明日からの米韓合同演習は、北朝鮮側に、「挑発したのは相手だ」と言わせる口実になります。そして、北朝鮮は、すでに黄海で演習をすれば何らかの行動を起こすと警告しています。

それが、一般に考えられているより大規模である可能性は捨て切れません。

米韓が演習で何をするのか、そして、北朝鮮の挑発にどう対応するかによっては、大きな犠牲を払う事態になりかねません。

それは北朝鮮の思う壺なのかもしれません。

ここは、十分な備えをしつつ、メンツにはこだわらず、大人の対応をした方が賢いのではないかという気がします。