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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

鋭い! 「なぜ多くの人が気候変動の脅威から目を背けるのか?」

 AFPに、気候変動の脅威から目を背けたがる人間の心理について、鋭い分析が載っていました。

分析1「快適な生活を捨てたくない」

 確かにそうでしょう。一度味わった快楽から抜け出すことは難しいものです。

 しかも、よく言われる方法は、やれ「テレビを見る時間を減らせ」とか、「シャワーを浴びる時間を減らせ」とか、工夫する情報なしに、とにかく我慢しろというものが多いので、ますます認めたくなくなるでしょう。

 ですから、私は講演などで、「エコ・ゴージャス」というライフスタイルを提案しているのです。これは、知恵と技術を使って効率を追求し、環境への負荷を抑えながら、自分もトクをしたり、健康に過ごせたり、少なくとも、特別な我慢をしない、エコライフの方法です。

 環境意識が高い人しかできない方法では限界があるのです。より多くの人たちが取り組むことで、社会全体の環境負荷を減らすことができるのです。

分析2「恐怖から目をそらしたい」

 環境トンデモ本などの、根拠が薄弱な「温暖化していない」とか、「温暖化しても大したことない」という無責任な論や、国際謀略説などを信じ込み、専門の科学者の声や、過去や現在の明確なデータを無視するのは、こうした心理からでしょうか。

 環境トンデモ本が猛威をふるっていた頃は、本当はそんなくだらないことのために大切な時間を割きたくなかったのですが、少しだけ、テレビで著者が言っていたことなどを引き合いに出し、いかにいい加減な話をしているかを解説したりもしました。

 最近は下火になってきて助かっています。

 私の講演では、古気候学や観測データ、最新の予測などをもとに、ほとんど報道されない事も含めて、様々な角度から、地球温暖化の本当の恐怖について解説しています。

 記事では、恐怖から目をそらすための反応として、

・環境によい小さな行動をことさら強調する

・排出削減に消極的な他国をことさら非難する

・個人の力ではどうしようもないとため息をついてみせる

といった行動を挙げています。

 確かに、「すぐにできる小さな事」が喜ばれる傾向はあります。しかし、小さな行動だけでは、CO2削減効果は限定的です。小さな事からでも、とにかく始めることは大切ですが、それだけで終わらず、中くらいの行動、大きな行動に結びつけていく事が必要です。

 私の講演では、小さな事も含めつつ、テーマとしては、本格的に取り組めば、年間トン単位、少なくとも数百kg単位で削減できる方法をお話ししています。話を聞いて実践してもらっても、その行動が数kgの削減にしかならないのでは、せっかく割いた時間や行動がもったいないと思うからです。

 他の二つも良くある反応です。

 そして、私はもう一つ、問題だと感じている反応があります。

「私が生きている間、何とかもてばいいや」というものです。

 こうした声を聞く度、日本人はこんなに利己的だったのかと、悲しい気持ちになります。

そうした人を非難することは簡単ですが、非難したところで、「だったらやるか」と変わるとも思えません。

 まあ、志だけ立派で、実際には一切行動しない人よりは、自分がトクをするからという理由でも、環境負荷を減らす行動をする人の方が、社会的には価値があると思うので、そのあたりは、ある程度割り切るしかないかなとも思っています。