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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

高知のパネルディスカッションで新提案

 パネルディスカッションの為、昨日から高知に来ていました。

 ホテルのチェックアウトから集合時間まで間があったため、路面電車の乗り換えのついでに、はりまや橋を見て、高知城にも行ってみました。

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はりまや橋

 高知城天守閣は、江戸時代に一度大火で焼けたものの、元通りに復元された後は幾多の大型台風や大地震、太平洋戦争にも耐え、当時の姿をそのままとどめているそうです。

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〈追手門と高知城天守閣〉

 パネルディスカッションは、環境省主催の浄化槽シンポジウムの一環として開かれたもので、「これからの汚水処理対策と浄化槽」がテーマでした。

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 パネリストは3人。

NPO法人黒潮実感センター長の神田優氏は、日本で最も多い、1000種類もの魚が確認されているという、柏島での取り組みをお話下さいました。

 島では昔、一カ所しかない「たんだ」の井戸の水を、桶に汲んで飲み水を得ていたそうです。今は橋もかかり、水道も引かれていますが、水の貴重さを子供達にも知ってもらおうと、井戸から合計40kgにもなる重い桶を運ぶ環境学習をされました。

 子供達は、水を得る事がいかに大変だったか体験し、水を大切に使うようになったそうです。

 くらしを見つめる会の田岡真由美氏は、高知県で合併浄化槽の普及率が低いのは、知られていないから。紙で見せられても、なかなか高い能力や必要性を理解するのは難しい。大変でも誰かが汗をかいて口で説明して回らないと、広がっていかないのではないかと指摘されました。

 高知大学農学部准教授の藤原拓氏は、せっかくの浄化槽も、1年に1回義務づけられている検査や汚泥の処理が徹底されていないため、十分な性能が発揮できていないケースがある事を指摘されました。

 そして、下水道に使用料を払うのと同様に、浄化槽の利用者から「維持管理料」を徴収し、そのかわり、行政が責任を持ってメンテナンスするというシステムを提案されました。

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 環境省の方のお話しによると、実は、第二次補正予算には、浄化槽の整備や普及を進めるモデル事業の予算も含まれていて、それに選ばれると、通常は3分の1の国庫負担率が2分の1に増え、さらに経済対策の一つ、地域活性化・生活対策臨時交付金を、地域負担分に当てれば、自治体の負担分をほとんどなしにできるそうです。

 しかし、浄化槽の設置には、種類にもよりますが、1割の個人負担分、5人用で8万円あまりが必要です。

国庫からの支出を直接、個人負担の軽減に使う事はできないそうですが、地方の負担が大幅に下がるので、その余裕を個人負担の軽減に使うかどうかは、自治体の裁量との事でした。

 モデル事業に選ばれた自治体は、是非、個人負担の軽減をして頂きたいと思います。

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 また、個人の方へ提案したいのですが、下水道も、合併浄化槽も整備されていない場合、定額給付金を、浄化槽設置の個人負担分に使われてはいかがでしょうか。

 夫婦と子供2人の場合で、6万4000円(最初4万円としていたのは勘違いでした)になり、個人負担の3分の2程度をまかなえます。悪評高い定額給付金ですが、どうせもらうのであれば、意味のある事に使いたいものです。

 それから、パネルディスカッションの後、関係者の方々とお話していて気づいたのですが、今、生活廃水を垂れ流している人は、汚水処理に関する費用をまったく払っていないんですよね。

 下水や浄化槽で汚水を処理している人は負担がいるのに、川や海を最も汚している人達が負担なしなんておかしいでしょう。

 例えば、生活廃水垂れ流しの家庭には、環境税として、水道料金に、痛みを感じる程度の上乗せをするのはいかがでしょう。

 そうすれば、環境税を払う位なら、浄化槽を設置しようと思うのではないでしょうか。

 このケースもそうですが、環境に良いことが分かっているのに普及が進まない場合、補助金などで導入しやすくすると同時に、環境対策をしなければ損をする仕組みにすると効果的だと思います。

 このシンポジウムは、また来週、今度は大阪で開かれます。