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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

究極のエコカーはEV?FCEV?いや、実は・・・ (1)

 ここのところ、エコカーに関係するニュースが続いています。  まずは、電気自動車(以下EV)関連から。  先月、三菱自動車工業が「i-MiEV」、
 そして、富士重工業が「プラグインステラ」という、ともに軽自動車タイプのEVを発売しました。  また、日産自動車も、来年、「リーフ」というEVを投入すると発表しました。
 この車の注目点は、EVのネックとなっている電池部分をリースにする事を検討しているところです。  EVの性能のカギはバッテリーで、今のところ、リチウムイオン電池が、軽くて多くの電気を貯められるため、これからのEV用として有力になっていますが、パソコンや携帯電話のバッテリーで発熱事故が起きているように、制御が難しい面があります。  また、大変高価で、リチウムイオン電池を使うと、EVの価格の約半分は電池代になるとも言われます。  その電池部分をリース化すれば、車両本体の価格を大幅に抑えられるので、ガソリン車並みの価格設定も可能になるでしょう。 ただ、リースと聞いて、ベタープレイス社が提唱している、バッテリーをわずか数分で交換できる方式かもしれないと思っていたのですが、日産自動車の広報によると、少なくともリーフについては、交換式は採用しないそうです。  交換式であれば、ひんぱんにプロの目でバッテリーの状態や寿命をチェックしてもらえるはずなので、ユーザーは、電池の状態にあまり気を遣う必要がなくなりますし、電池の残量が減れば交換すればいいので、移動可能な距離が伸び、かなりEVへの敷居が低くなると思っていただけに、ちょっと、期待はずれでした。  それでも、リースという事は、電池に異常があれば、ベタープレイス社が提唱している方法ほど簡単ではないにしろ、交換はしてくれるはずなので、ユーザーの心理的負担は軽くなるでしょう。  それから、EVの弱点の一つである、航続距離の問題を緩和するため、急速充電ができる施設を増やそうと、急速充電器の規格を統一し、普及を図る協議会を、上記EVを発売、発売予定の3社と、東京電力が設立しました。
 急速充電すれば、リーフの場合で、30分間で80%まで残量を回復できるとの事ですから、さらに約100km走れるようになります。高速道路のSA、 PA、レストラン、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、書店などに充電設備が普及すれば、EVの航続距離への不安はかなり解消されるでしょう。  ただし、よく EVの場合、走行時に二酸化炭素を出さない事が強調されますが、商用電源で充電する場合、火力で発電した分は、発電所でCO2が出ています。  EVがCO2ほぼゼロとなるには、 ・太陽光発電など二酸化炭素を排出しないで発電した電気のみで充電する ・そのような電気を使用したとカウントされる、グリーン電力(グリーン電力証書システム)で充電する といった条件が必要となります。  しかし、経済性で見ると、太陽光発電の場合、余った電気は電力会社に売り、EVへの充電は、昼間の電気代の3分の1ですむ深夜電力で行った方がはるかにトクです。特に、固定価格買取制度が実施され、電力会社の買い取り価格が高くなればなおさらです。  また、グリーン電力を家庭が購入するのは現実的ではありませんから、急速充電施設が検討する事になるでしょうが、設置施設がコスト負担をする必要があります。  一番効果的なのは、電力会社の発電の内、化石燃料を使った火力発電を減らしていく事です。太陽光発電風力発電地熱発電、そして、バイオ燃料を使った火力発電等の導入を進め、発電時のCO2排出がほぼゼロになった時、EVも究極のエコカーと呼べるようになるでしょう。  つづく。