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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

えっ!?ウランが自然エネルギーだって?

 日曜日の午後、妻の買い物につきあって、車中で待っていたり、運転中に、よみうりテレビ制作の「たかじんのそこまで言って委員会」という番組を、見る(運転中は聞く)事があります。

 同じテーマでも色んな意見が出て、多角的な物の見方を養うにはいい番組だと思っているのですが、昨日の環境問題についての部分はちょっとひどかったですね。

 批判するのはあまり好きではないのですが、目に余ったので書かせてもらいます。

 ゲストは中部大学の武田邦彦教授でした。この方を、トンデモ説の異端教授として、おもしろおかしく取り上げるのなら分かるのですが、まともに取り上げている時点で、なんだかひどいことになりそうな予感はしました。

 案の定、IPCCの第4次報告書で、最高レベルの「確信度が非常に高い」という表現で関連づけられた、人間が排出した温室効果ガスと近年の地球温暖化現象について、あたかも、まだ5分5分の議論が続いているかのような表現をしたり、「日本は多少温暖化した方がいい」などと、無責任な発言を連発していました。

 挙げ句の果てには、「日本は熱容量が大きい海に囲まれているので温暖化の影響が出にくい。大陸の中国やアメリカは影響が早く出るので国力が弱まって良い」とまで。

 これには、さすがに出演者(たぶん金美齢さん)から、「今の意見は承伏できません」と、ピシャリと言われていました。

 ゲストの民主党の議員さんは、科学的知見をふまえたまともな事をおっしゃっていましたが、他の男性出演者からは、ずいぶんひどい発言がありました。

 丁度運転していた時で、聞いていただけなので誰だかはよくわかりませんが、「温暖化防止のため、全部原子力にすればいい」とか、「ウランも自然に取れる資源だから、自然エネルギーだ」とか。

 原子力発電は、安定した運転はできますが、大きく出力を変動させる運転は苦手なので、せいぜい3~4割にしかできません。

 また、自然エネルギーとは、太陽光、風力、地熱、波力など、ちょっとした変換で利用できるエネルギーの事を言うのであって、採掘、精製、燃焼といった過程を経なければ利用できない鉱物資源を、自然エネルギーとは言いません。

 ウランが自然エネルギーなら、化石燃料だって自然エネルギーになってしまいます。

 こうした発言が、他の出演者のフォローもなく、垂れ流しにされると、詳しく知らない一般視聴者は誤解してしまいます。

 実際、ゲストの田丸麻紀さんは、「普段耳にしている情報とずいぶん違うのでとまどっています」と困惑していらっしゃいました。

 こういう番組を見ると、「私をゲストに出してくれれば、議論を盛り上げながらも、まともな結論に持って行けるのに。」と思ってしまいます。

 でも、ゲストに呼んでもらうには、私もベストセラーを出すか、何かで有名になるしかないでしょうね。