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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

激化するハイブリッド車販売競争4

 マツダが、先月25日から、水素ハイブリッド車プレマシー ハイドロジェンREハイブリッド」のリース販売を始めました。

 マツダが水素を燃焼させる方式のエンジンを開発している事は知っていましたし、月額42万円のリースと、一般向けではありませんから、簡単に触れるだけにしようと思っていました。

 しかし、詳細を見ようと、Webサイトを訪れると、まず、写真の所に、「この画像を引用する」というボタンがあり、押すと、簡単に引用できるタグまで用意してくれています。

 写真の使用に神経質な企業がまだ多い中、ブログやWebで利用しやすいよう配慮してくれるとは。もちろん不本意な使われ方をされるリスクはありますが、それより、積極的に画像付きで紹介してもらえるメリットの方が大きいと判断したのでしょう。

 企業広報のあり方の一つの方向性を示しているように思います。

 さて、車の方も、目を引くポイントがありました。

 それは、この車がシリーズハイブリッドだったことです。

 トヨタプリウスやホンダのインサイトをはじめ、現在のハイブリッド車の主流は、エンジンもモーターも走行に使う、パラレルやスプリットと呼ばれる方式のハイブリッド車です。

 シリーズというのは、エンジンは発電専用で、走行はモーターで行う方式です。いうなれば、発電機を載せた電気自動車です。

 仕組みがシンプルなので、技術としては古くからありますが、エンジンの出力を走行にも使用した方が総合的な効率が良くなるということで、あまり使われなくなりました。

 しかし、リリースを見てみると、シリーズハイブリッドにする事で、「水素での航続距離を2倍の200kmに、最高出力を約40%増の110kwに改善」と書いてあります。

 水素エンジンをそのまま走行に使うより大幅に燃費や出力を改善できるようです。

 水素燃料で走っている時に出るのは水だけですし、水素がなくなったら、ガソリンに切り替えて走れるバイフューエルなので、長距離走行する際も安心です。

 水素で走るというと、燃料電池車もそうです。水素と空気中の酸素を反応させて発電し、モーターを動かして走ります。その意味では、燃料電池車もシリーズハイブリッドです。

 燃料電池を使った方が、発電効率が良いですが、仕組み上、ガソリンとのバイフューエルにする事は難しいと考えられます。(ガソリンから水素を取り出すこともできなくはないようですが効率が良くないでしょう)

 ですから、水素を供給するインフラが全国に整備されるまでは、水素でもガソリンでも走れるというのは大きなメリットになります。

 また、将来的には、やはり燃料電池車にするとしても、同じシリーズハイブリッドですから、水素エンジンを燃料電池に載せ替えれば良いわけで、それまで蓄積したノウハウは無駄にはならないでしょう。

 燃料電池車の開発で先んじている企業は、あえて作る必要はないでしょうが、後発の企業は、ガソリンとのバイフューエルが可能な水素発電エンジン+モーターのシリーズハイブリッド車を作るというのは、燃料電池車の開発が進み、水素スタンドが整備されるまでのつなぎとして、一つの有効な手段ではないかと思います。