未来の人類に生命あふれる地球を残そう!

環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

とうかい号 私の研修

 時間が経ってしまいましたが、とうかい号で私が行った研修を簡単にご紹介しておきます。

 前半と後半があり、前半は2時間。後半は430人を半分に分けて、同じ内容で2時間ずつでした。

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 前半は、通常の講演の長めのバージョンにしました。

とうかい号の研修委員会から、地球環境の現状について詳しく話して欲しいという要望を受けていたので、その部分に、通常のおよそ倍の50分当てました。

 冒頭で、私が環境問題に関心を持つようになったきっかけについてお話ししました。

いつもの講演では時間がもったいないので話しませんが、時々聞かれるのでここでご紹介しておきます。

 地球環境に危機感を持ったのはいつ頃からか、ずっとさかのぼっていくと、小・中学生の頃、天文が好きだったことがきっかけだったように思います。

 地元の天文ファンのクラブに入って、望遠鏡で惑星や星雲を見たり、地面に寝そべって流星群を観測したりしていた他、色々と調べることも好きでした。

 すると、金星と地球は、もともとよく似た星だった事がわかりました。

 現在の金星は、CO2濃度96.5%、地表温度400度、90気圧という、生物が住むことは難しい環境ですが、昔の地球も、CO2濃度90%、地表温度300度、70気圧という、厳しい環境だったのです。

 ところが、金星よりも地球の方が少しだけ大きかったため、水蒸気をより多く引き留めておくことができ、少しだけ太陽から遠かったために、上空で、水蒸気が液体になることができる気温まで下がったのです。

 そのおかげで、数千年の豪雨が降って、地表温度を下げ、海ができ、その海がCO2を吸収して、ますます冷却し、さらに生命が誕生して、CO2を固定化して、今の程度の気温になったのです。

 ほんの少し地球が小さかったり、太陽に近かったりすれば、今のような緑の星になることはなかったのです。そういったことを色々調べて知ると、今の環境が当たり前ではなく、奇跡的なバランスによってもたらされている事がわかり、ほんの少し、人間がバランスを崩すだけで、環境が激変してしまう危険性があるのだと、危機感を持ったのです。

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 その後、予言ブームなどもあり、自分でも調べてみると、生命が何億年もかけてCO2を固定化した化石燃料をジャンジャン燃やして、大気にCO2を戻していたり、森林をものすごい勢いで切り倒していたり、持って行き場に困るほどゴミを出していたりと、人類は、まるで地球の環境は不変だと安心しているかのような振る舞いをしている事を知り、何とかしなくては、大変なことになると考えたのです。

 学生の間は、危機感を持つだけで、具体的に、どんな行動をすれば良いのか分からなかったのですが、幸い、テレビ局のアナウンサーという、ジャーナリストになることができたため、入社してすぐ、環境をテーマにした企画を立てて、ニュースで放送するなど、環境やエコライフについての情報を発信するようになったのです。

 さて、研修の紹介に戻ると、この講演から、海面が上昇した場合のシミュレーションを、グーグルアースのレイヤー機能を使った画面で紹介することにしました。

 東海四県各地のケースをご紹介しましたが、そのうち、名古屋近辺の例を、縮小したGifアニメでアップしておきます。

CO2の排出を、今ゼロにしても、海面の上昇は数千年続くと予想されています。どのレベルでCO2濃度を固定化できるかによりますが、気温の高い状態が長期間続いて、グリーンランドと、南極西部の氷河が溶けて、海面が12m上昇したケースを濃い水色で、さらにすべての氷が溶けて72m上昇したケースを薄い水色で示しています。

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 このような状態になるのは、数百年、数千年後としても、その時の人類には、海面上昇を抑えることはできません。今、私たちができるだけ早く、CO2の排出を抑えることで、海面上昇の影響を小さくできるのです。

 そのほか、良く報道される温暖化の影響についても触れましたが、そちらは軽くして、主にあまり報道されない温暖化が進んだ場合の影響や、すでに現れている現象を紹介しました。

 あとは、エコ・ゴージャスの具体例として、大きなCO2削減効果がある、エアコン、車、住宅、太陽光発電、シャワーヘッド、温水洗浄便座のお話しをしました。

 次回は、後半の研修で行った、おそらく日本初と思われる試みについてご紹介したいと思います。