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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

心配していたこと

 今から7~8年前、テレビ局のアナウンサーをしていた時、東海地震が発生した場合に備え、原子力発電所を視察したことがありました。

 その結果、3点の懸念があり、案内をしてくれた発電所の関係者に伝え、上司への報告書にも記載したのですが、今回の新潟県中越沖地震で、その内2点が現実のものとなりました。

 1点は、地震の揺れの想定についてです。

 原子力発電所が立地する地域で発生した過去最大の地震や、周辺の活断層のデータを元に、余裕を持たせて最大の揺れが想定されています。

 しかし、人間が分析できている過去の地震なんてしれていますし、地殻にひずみが溜まれば、突然大地震が発生し、その結果として新たな場所に活断層ができるということもあるのですから、原子力発電所の立地に関係なく、最大の地震動を想定するべきではないかと指摘しました。

 例えば、過去最大の内陸地震である濃尾地震(M8.0)を若干上回る地震が直下で起きた場合などを想定すれば良いのではないかと思うのです。

 現実には、直下型地震はM6.5、深さ10kmまでしか想定されていません。

 今回、懸念していた事が現実となり、柏崎刈羽原発では、想定を大きく超える、最大680GALの揺れを観測しました。

 2点目の懸念は、建屋以外の破損です。

 原子炉が入っている建屋は、驚くほど太い鉄筋の入った、分厚いコンクリートで、岩盤に直接建てられていますから、建屋が地震で崩れる事態は考えにくいと感じていました。

 ただ、周辺の施設や配管などは、破損して放射性物質が漏れ出す可能性があるのではないかと思ったのです。

 また、放射性廃棄物が入ったプールを見学した時、地震があれば、その水が揺れで漏れ出すのではないかとも思いました。

 この点については、その場で疑問をぶつけ、その時の答えでは、たとえ水があふれても、外部に直接出ることはない構造になっているから大丈夫とのことでした。

 ですから、今回、使用済み燃料プールの水があふれ、排水溝を通じて海に流れ出たと聞いて驚きました。

 その際の説明がウソだったのか、別の発電所なので、設計が違うのかは分かりませんが。

 原因が特定されていないものの、排気からも放射性物質が見つかったそうですので、見つかりにくいところで破損があったのかもしれません。

 2点の懸念が現実のものとなってしまいました。

 3点目は安全保障上の理由からここに書くわけにはいきませんが、これだけは現実になって欲しくないと思っています。

 見学の際、対応してくださった方にはお伝えしましたが、改善されたのかどうかは分かりません。

 実際に改善が可能な立場の方には、お伝えいたしますので、ご連絡下さい。