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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

日経ビジネス:世界が100年以内に終わるこれだけの理由

日経ビジネス:世界が100年以内に終わるこれだけの理由

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/book/15/233582/092800006/?P=1

物騒な記事だなと思って見た所、ナオミ・オレスケス、エリック・M・コンウェイ著『こうして、世界は終わる』の紹介でした。

まだ読んでいませんが、同意できる内容が多い本のようです。

世界が終わると言っても人類が滅亡するということではなく、今の文明が崩壊するということで、2093年に世界が壊滅的なダメージを受け、細々と生き残った人々の末裔、300年後の歴史学者がどのように破滅に向かっていったのかを詳細に解説していくというストーリーとのこと。

人類は滅亡はしないものの、今の高度で沢山の人口を支えている文明は崩壊する可能性があることは、私もこれまで何度も書いてきました。

西南極氷床が崩壊し、短期間に数メートルも海面が上昇することは、過去に実際に起きているので今回の人為的温暖化によって起きる可能性は十分あるでしょう。

そうなると億人単位の人口移動が必要となり、大混乱となるでしょう。

大穀倉地帯が失われ、内陸でも極端な気象が続いたり、急激に変化したりする中、安定的な食糧生産が難しくなり、食糧不足が深刻化する可能性があります。

なぜ科学的に予想されていることなのに食い止められないのか、その大きな理由の一つとして、本書では「市場原理主義という信仰」をあげているそうです。

市場に判断させることこそが正義だという風潮があまりにも強く、国連や政府が強引に経済活動にストップをかけることができないということです。

残念なのはこの本では、それに対するわかりやすい回答が提供されていないらしいことです。

ただただ化石燃料を使わせないという方法は難しいでしょう。

ですから、私は6年前に今のお金の制度は残しつつ、超法規的な決済システムを導入して、化石燃料から再生可能エネルギーに速やかに切り替えて危機を乗り切ろうと提言したのです。

再生可能エネルギーを急速に普及させるための提言

http://otomitv.seesaa.net/article/114694984.html

今は、再生可能エネルギーの発電コストがどんどん下がって、原発はもちろん、場合によっては火力発電より安くなってきましたし、多くの雇用を生み、経済活動と再生可能エネルギーへの切り替えは両立すると考える人達が世界的には増えています。

私が提言した方法ほどではないにしても、今の流れが強まっていけば、再生可能エネルギーへの切り替えが順調に進み、気候変動による大きなダメージはあっても、文明の崩壊までには至らずに済むかもしれないと考え始めています。

ただし、単純な温暖化ではなく、地域的な寒冷化が進む可能性もあり、その場合は人類が受けるダメージは相当大きくなってしまうと予想されるのですが、その兆候ではないかとも思える現象が北大西洋の海面温度に表れ始めているのが心配です。

この本は、解決策は分からなくても、現状が楽観できない状況であることを再認識するためにも、一読する価値はありそうです。

迫り来る気候変動の恐怖 ~地球温暖化が招く未曾有の危機~ 後編

「迫り来る気候変動の恐怖 ~地球温暖化が招く未曾有の危機~ 後編」

環境気候エネルギー出版 富永秀一著

定価300円