earth より (c)Cameron Beccario
台風16号は暴風域の直径が290kmあり、大型ですが、中心気圧は960hPaまで衰退しています。
それに対して台風15号は暴風域の直径が240kmとコンパクトですが中心気圧は940hPaと非常に強い勢力を保っています。
これを見て思い出したのが2004年の台風22号です。
小さいのに雲が非常にまとまっていて、中心気圧950hPaで伊豆半島に上陸し、石廊崎で最大瞬間風速67.6m、網代で63.3mという猛烈な風をもたらしました。
死者7名、行方不明者2名、住宅の全壊135棟、半壊287棟という被害が出ています。
参照:自然災害科学「2004年台風22号(MA-ON)の気象的特徴と伊東市と横浜市で発生した強風災害」
http://www.jsnds.org/ssk/ssk_25_2_155.pdf
私はこうした小さいのに強い台風を勝手に「竜巻型」と呼んでいますが、今回の台風15号はまさに「竜巻型」です。
「竜巻型」の特徴はある程度近づいてもあまり風が強まらず、直撃を受けた狭い範囲で、直前になって突然、猛烈な暴風雨になることです。そのため、「たいしたことないな」と油断している所を襲われることになりやすいのです。
上記の資料の5枚目の上に観測所での風の変化を示すグラフが載っていますが、石廊崎では、午後2時頃まであまり風が強くなかったのに、それ以降急激に強まり、午後3時7分に最大瞬間風速67.6mを記録しているのです。
今回、台風15号がかすめた石垣島で、最大瞬間風速71.0mを記録し、車が飛んだり信号や電柱が折れる被害が出ています。
直撃を受ける可能性がある地域ではこの位の風を想定して、最大級の警戒をして欲しいと思います。
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環境気候エネルギー出版 富永秀一著
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