新国立競技場はあえて詳細なコスト計算をしなかった疑い
最近、悪い意味で話題の新国立競技場。
昨日、「新国立競技場 コスト確認せず決定か」というニュースが流れました。
NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150710/k10010146211000.html
それを受け、私は
「「技術調査」の時にコストをチェックする仕組みにしていなかった、又はその時無理なら別に「コスト調査」を行わなかった事が問題ですね。決定までの仕組みを決めた人に責任ありでしょう。 」
とツイートしました。
実際どうなのか、JSC(日本スポーツ振興センター)のWebサイトに公開されている資料から分かる範囲で調べてみて、驚きました。
新国立競技場 国際デザイン・コンクール報告書のP54に技術調査の内容が書いてあります。
http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/Portals/0/compe/20140530_compereport_3_shinsagaiyo.pdf
【技術調査における確認事項】の 1)の⑥で、「事業費及び工期に関する考え方」のうち、工期に関することとあり、あえて、事業費を検討しないよう定めているのです。
では、デザイン決定までに、あらためて専門家によって事業費の検討を行ったのかと探してみましたが、その形跡はありません。
とにかく2019年のラグビーワールドカップに間に合わせるため、工期が延びることは許されないが、事業費はそれほど気にしなくて良いという形で進められたようです。
そのため、第3回審査委員会/二次審査で、同資料のP62で、ザハ・ハディド氏の作品17についての意見で、
「技術的には可能だろうが、コストがかかることが懸念される」という指摘が出ても、確証を持って、予算内では無理だということは誰もできず、そのままこの作品が選ばれてしまったのです。
その後、国立競技場将来構想有識者会議の第4回(平成25年11月26日)の資料3「今後の設計の進め方(案)」を見ると、JSCは、建設コストや将来的な運営維持、財政面を踏まえつつ、設計者、実務者と協議し、要望事項の設計への反映に努めるとあるので、やはり、今回の大幅予算オーバーの責任は、第一にJSC、次いで協議してきた文部科学省ということになるのでしょう。
私は、2019年のラグビーワールドカップは別の会場でやってもらってでも、審査過程で「完成度が高い」「実現可能性が高い」と評価されている、次点のコックス・アーキテクチャーのデザインに切り替えて、設計、事業費計算からやり直した方が良いと思います。