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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

太陽光+太陽熱+地中熱の利用で電力消費量45%削減の社屋

 山梨トヨタ自動車(本社:甲府市)が、太陽光、太陽熱、地中熱を活用した省エネ社屋を建設したそうです。  このニュースをTwitterで伝えた所、たくさんRT(自分をフォローしている人達に記事を再発信すること)され、関心が高い事がわかりました。  また、一般メディアの記事では、分からない部分があり、今後の講演等にも役立つと思ったため、電話取材してみました。  対応してくださったのは営業推進の方だったので、システムの詳しいことは伺えませんでしたが、資料を送って下さいました。 本社屋エコシステム概略図2.jpg 山梨トヨタ自動車新本社屋エコシステム概略図(山梨トヨタ自動車提供)  この社屋は、出力55kWの太陽電池と、太陽熱を吸収して暖房に使う「ソーラーウォール」、そして、地下水の安定した熱を空調に利用する「地熱利用エコエアー」を備えていて、設置しない場合に比べ、年間でCO2を18トン、電気の使用量は、約45%削減できる見込みだそうです。  特に関心があった地中熱(一般に、高温を利用する場合「地熱」、常温を利用する場合、「地中熱」と言います)の利用ですが、ボーリングをしたところ、18m下に地下水があったため、そこに100mのチューブを沈めたそうです。  電話では詳細がわからなかったのですが、図を見ると、チューブに冷媒を通し、外気と熱交換するシステムのようです。  地下水の温度は年間通じて約15度で安定しています。夏はその冷たさを外気に伝えて、冷やして室内に送り、逆に冬は、外気より温かい地下の熱を伝えて、暖めて室内に送るわけです。  夏はいいとして、冬は15度では寒いのですが、ソーラーウォールの熱も使い、それでも足りなければ、従来型の空調を使うとの事です。 ソーラーウォール2.jpg ソーラーウォールが設置された壁面(山梨トヨタ自動車提供)  ソーラーウォールは、素材は分かりませんが、外壁に設置された、黒い、太陽熱を集めやすい集熱板とガラスの間に、15cmの空気層を作り、そこで暖めた空気を、冬は室内に送るシステムです。  温かい空気は天井付近に貯まるため、下に送って温度ムラを抑えるサーキュレーターも設置されているそうです。  店内には、上にあるシステム図が設置され、今の発電量や熱の状態がリアルタイムで分かるようにしてあるそうです。  太陽電池を設置する例は徐々に増えてきましたが、太陽熱、地中熱を総合的に利用する例は、日本ではまだまだ少ないのが現状です。  こうしたシステムは、設置費用がかかりますが、ランニングコストは下がりますし、PRにもなりますので、特に、直接消費者に商品やサービスを提供する企業では、有効でしょう。