炭素循環のフィードバック効果は予想以上か
講演でもよくお話しているのですが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の海面上昇の予測には、大きな二つの効果が計算に入っていません。
IPCC第4次評価報告書 統合報告書 概要(公式版)P40参照。
・炭素循環フィードバックにおける不確実性
・氷床流出変化による全ての効果
この二つです。
炭素循環フィードバックについては、同じ報告書のP43にわかりやすく書いてあります。
ようするに、温暖化すると、土壌に含まれる有機物の分解が早くなって、CO2として大気に放出する量が増える。すると、CO2濃度が高まって、ますます温暖化が加速するという訳です。
これが、どの程度の効果をもたらすかよく分かっていなかったので、2007年にまとめられた第4次報告書の海面上昇の予測には入っていないのです。
その効果について、この度、フィンランド環境機構が、現在の主要な計測方法で算出された量よりも最大で50%多くなる可能性があると発表したのです。
そのCO2増加効果を打ち消すためには、現在急速に減少しつつある森林を、逆に100~200%増やす必要があるということです。
これは、ますます厳しい状況になりそうです。