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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

究極のエコカーはEV?FCEV?いや、実は・・・ (3)

 ハイブリッド車についても、ニュースが入ってきました。

 一つは、GMが2011年に1リットルあたり97km走るプラグインハイブリッド車を発売するというものです。

 しかし、以前にも書いたように「ちょっと期待はずれだった新型プリウスの実燃費」、ハイブリッド車、とくに、EVのようにモーターだけで長い距離を走れる車の場合、電池で走っている間はガソリンを消費しませんから、従来の燃費の測定方法では、過大な数字が出てしまうのです。

 この車も、外部からの充電が可能なプラグインハイブリッドで、満充電の状態から約64kmは、EVの状態で走れ、それ以降は、発電専用のエンジンを動かして電気を起こしながら走る、シリーズ型のハイブリッド車です。

 また、トヨタ自動車も、2011年にも、小型のハイブリッド車を投入するようです。

 ヴィッツベースのハイブリッド車が2~3年以内に発売されるというのは既定路線で、新しい話ではないのですが、約150万円で、リッター40km以上と、より具体的になってきました。

 この場合の燃費もそうですが、今後、こうした車が増えてくる事を考えると、燃費の測定方法を考え直す必要があると思います。

 例えば、エンジンを動かさないEVモードで走れる場合、消費電力量を測定し、1kWhあたりに走れる距離を出すとか、短距離のモードと、150km×3で450km位の長距離を続けて(必要なら充電、燃料補給しながら)走るモードを併用すると言った方法です。

 今でも、乗る人の使い方によって、同じ車でも、燃費が違いますが、これからは、その違いがより大きく出てきます。例えば、いつも数十km以内の近場しか走らない場合、プラグインハイブリッドなら、EVモードだけで走行できるケースが多く、ガソリンをほとんど消費しませんから、燃費がガソリン1リットルあたり 100km程度になっても不思議ではありません。

 それに対して、近場は歩きか自転車で済ませ、車に乗るのは家族で長距離移動する時だけという使い方なら、電池を使い切った後、発電しながら走行する距離が長くなりますから、燃費はリッター20~25kmほどになるかもしれません。

 上記のように、使い方による燃費の違いが示されるようになれば、消費者は、自分が乗る場合どの位の燃費、コストになるか、想像しやすくなり、車の比較もしやすくなると思います。

 さて、従来型のガソリン車やディーゼル車は、もう消えゆくしかないのでしょうか。

 いえ、実は、こうした車でも、CO2ほぼゼロの究極のエコカーとして走ることができます。

 それは、100%バイオ燃料だけを使用して走る方法です。

 バイオ燃料を燃やしても、その時に出るCO2は、最近取り込まれたものが大気に戻っただけなので、地球温暖化には結びつかないとされます。(カーボンニュートラル)

 できれば、燃料の製造段階で使うエネルギーもバイオ燃料など再生可能エネルギーにすれば、本当にCO2ゼロの燃料と見なせます。

 バイオ燃料は、燃料系統のゴムや金属を腐食させやすいといった問題がありますが、日本の自動車メーカーも、そうした燃料が販売されている海外仕様ではすでに対策していますので、日本でもやれない話ではありません。現状では余分なコストになるのでやっていないだけです。

 海外では、バイオ燃料を積極的に普及させようと、補助金を出したり、規制をゆるめたり、税制面で優遇するなど努力する国が増えている中、日本は、わずかな補助金や助成事業はありますが、規制や税制の優遇どころか、障壁の方が目立つ状態で、とても、国を挙げて育てようとしているように見えません。

 しかし、EVよりもFCEVよりもずっと簡単に、ちょっとした改良で従来の車を、CO2ほとんどゼロの車にできるのですから、もうすこし、バイオ燃料にも目を向けて良いのではないかと思います。

 では、EVやFCEV、ハイブリッド車に力を入れるのは無駄なのかというと、そんなことはありません。

 CO2ゼロを目指すのは第一のゴールですが、そこからさらに、総合効率を上げて、より少ないエネルギーやコストで走る競争があります。その時、それらの効率が高い車同士で、ハイレベルな競い合いが行われると思います。一つに決めるのではなく、また、決まるのを待つのではなく、様々方向から、先を争ってアプローチしていくのが良いのではないかと思います。

 他にも、この争いに入る可能性のある車はあります。どれがトップになるのかは、自動車メーカーの努力や、国の制度、そして、ユーザーの選択によって、変わってきます。

 各メーカーや、エネルギー供給者には、CO2ゼロ、さらには総合効率アップ、コストダウンという明確な方向性が見えているのですから、様々な角度から目標に向けて努力していただきたいと思いますし、国は、それを助ける補助政策、規制緩和を進めて欲しいと思います。

 そして、我々消費者も、そうした取り組みを支えるような購買行動、投票行動、意思表示をしていきたいものです。