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環境ジャーナリスト 講演講師 富永秀一 ブログ

激化するハイブリッド車販売競争

 ここのところ、ハイブリッド車を巡るニュースが増えています。

 まずは、新型プリウスについて。

 5月中旬に発売が予定されていますが、価格を当初予想されていた250万円前後から大幅に安い、205万円程度で出すそうです。

 また、通常、新型が出れば、それまでの車は販売をやめるものですが、現行のプリウスも人気があるため、190万円前後に価格を引き下げた上で販売を継続するそうです。

 この価格引き下げは、明らかに、ホンダが発売したインサイトの販売が好調な事が直接の原因になっていますが、昨年秋からの経済危機も背景にあるように思います。

 以前のように生産、販売が順調な状態なら、インサイトがヒットしようが、別に慌てなかったと思うのです。

 今のプリウスは、2003年9月の発売ですから、実に5年半前の車です。

2月の新車乗用車販売台数ランキングで、インサイトがいきなり10位に入ったといっても、プリウスは12位です。これほど前の車が、しかも、もうすぐ新型が出ることが分かっているのに売れている事が脅威です。

社団法人 日本自動車販売協会連合会

http://www.jada.or.jp/contents/data/ranking/index.php

 それに、実走行での燃費で、プリウスをやや上回っていますが、プリウスのエンジンは1500cc、インサイトは1300ccですから、良くて当たり前です。

e燃費

http://response.jp/e-nenpi/rank.html

(前のインサイトは2人乗りで1000ccという記録狙いの車なので対象外)

 販売台数にしても燃費にしても現時点で抜かれることは織り込み済みで、5月の新型で抜き返せば良いだけのはずです。

 一般ユーザーも、ハイブリッド車として支持するのは圧倒的にプリウスで、「プリウスが好き」と答えた人が78.0%、「インサイトが好き」という人は22.0%にとどまりました。男性だけで見ると、プリウス支持が99.6%だったそうです。

ネットエイジアリサーチ

http://www.mobile-research.jp/investigation/research_date_090323.html

 現行のプリウスの価格をインサイト並みに引き下げて売り続けるという判断は良いと思いますが、エンジンを1800ccにして、燃費もカタログ燃費でリッター38kmとさらに良くなる新型を205万円前後で出すというのは安すぎる気がします。

 私は、講演でいつも、初期費用だけ見るのではなく、燃料代など維持費用も含め、乗っている間の総合費用で比較するべきとお話ししています。

 そうした計算をすれば、現在の233万円のプリウスでも同じレベルの一般の車よりかなりトクなのです。

 おそらく250万円で出しても、十分おトクだと思われます。

それを205万円で出すというのは、ユーザーにとっては超お買い得ではありますが、製造コストがかかるハイブリッド車で、インサイトより相当高性能な新型プリウスをそんな価格で出して、ちゃんと利益が出るのか心配になってしまいます。

 ハイブリッド車は、高くても売れる、企業にとって良く、消費者もトータル費用でトクをし、環境への負荷も少ない、WIN-WIN-WINの車です。

 適正な価格で売って、ちゃんと利益を得て、安売り競争ではなく、性能競争をして頂きたいのですが、今回の経済危機が、その余裕をなくさせたのでしょうか。

 もしかしたら、薄利でも台数を売る事で、系列会社も含め、雇用を保つ事を優先しているのかもしれません。

 時間がなくなったので続きはまた。